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【しょーもない暴力との戦い方】「模倣犯」20230215

宮部みゆき模倣犯」全5巻を読んだ。
読み始めた時は「4月くらいまでに読み終わればいいな」くらいに思ってたが、
1巻の中盤ですぐにエンジンがかかり、1週間で読み終えてしまった。

模倣犯」といえば、どうしても中居くん主演、大林宣彦版の映画のイメージが強すぎる。
大昔、自分も金曜ロードショーかなんかで見て「凄まじいオチだな」と思ったのを覚えている。
(そもそもこの長編を映画にまとめること自体が無理だし、今見たら違う感想を抱くかもしれない)
しかし、先日、宮部みゆきの「火車」を読んだら大変面白かったので、「模倣犯」にもちゃんと向き合おうと思った。


とにかく登場人物が多い。
そしてモブとも思えるような人にも家族構成や仕事、趣味など、暮らしのこまごまとした説明が入る。
これによって被害者及び、遺族の気持ちも考えてしまい非常にげんなりする。
(この「モブとも思われるような登場人物の家族までも描く」というのがこの小説の肝であり、ラストに効いてくるだけど)

そして犯人は所謂「天才サイコパス系」なのだけど、
現代の「テンプレ的サイコパス犯」にはない、プレーンさがあった。

サイコパス犯を描く時「バットマン」のジョーカーみたいなキャラデザにしたり、
 いかにもなお面を被らせたりするのは、本当に辞めた方がいいと思う)

思えば自分が子どもの頃を過ごした2000年代初頭は、「羊たちの沈黙」や「セブン」などの影響でサイコスリラーブームだったと思う。
自分は「多重人格探偵サイコ」を読んでワクワクしてしまうタイプの少年だったので
勿論犯人の方がヒロイックでかっこいいと思っていた。

もしも「模倣犯」を、その当時に読んでいたら、やはり犯人の方をかっこよく感じていたかもしれない。
しかし今、大人の目線で読むと、最初からこの犯人が「結構イタい奴」として描かれているように感じる。
これは少年時代には感じ取れなかったイタさかもしれない。

結局色々言っていてもしょーもない奴なのだ。

理不尽な暴力に対して、僕らはこういう生き方で対峙していかなくてはいけない。
というメッセージを感じた。