今頃みんなはいい感じ

だって俺たちゃブログ世代

恐怖を乗り越えて「海がきこえる」20240402

~あらすじ~
主人公の大学生・ススムには、高校時代から付き合っている彼女・エリカがいた。
しかし、ひょんなことからエリカは東京の大学で出会ったチャラい先輩と関係を持っていることを知ってしまい・・・。

以上が、私が長年が想像していた「海がきこえる」のあらすじです。

海がきこえる」は学生時代からずっと気になっていたのだけど
「何やら寝取られ要素があるらしい」という噂をキャッチし
「そんなの見たら脳が破壊されちゃうだろ」
と思って見ることが出来ない作品でした。

しかし現在、
渋谷の映画館で上映されていると知り、
勇気を出して見に行くことに。



結果
そんなことなかったし、
とてもとても大好きな映画でした。

全ての瞬間から良さが溢れています。
ワンシーンごとに「良さだなぁ」と唸り続けました。

当時のアニメ画のルックはやはり素晴らしく、
全てのカットを名画として残せるんじゃないかと思います。

自分が90年代初頭の少女漫画ルックスフェチなのもあり、
あの細身ケミカルウォッシュジーンズにパンツインのシルエットを見ているだけで脳が幸せになりました。

主人公の友人、松野豊は
真面目クールな眼鏡キャラにして関俊彦の声がするので
一瞬にして私の「ジブリイケメンランキング」を塗り替えていきました。

しかし話が進むと主人公・杜崎拓の
「90年代少女漫画的カッコいい男のコ」ぶりも素晴らしく
「頼むからお前らは幸せでいてくれ」という気持ちに。

ラストの、同窓会から残ったメンツで商店街を歩き、話し込む流れ。
アレだ。
アレなんだよ、青春は。

見に行く前、
「この作品は思春期に見るべきだ」
「大人になった今、100%味わうことはできないタイプなんじゃないか」
と思っていたけど、そんなことはなかったです。
むしろ大人になった今だからこそ感じられるものが多かった気がします。

この作品は永遠を手にしている。

男たちのイニシエーションゴジラ「ゴジラ-1.0」20231106


あの山崎監督のゴジラ
と思ったけど実際自分は山崎監督作品を見たことない。
初の山崎監督作品でした。

とにかくゴジラの出来がいい。
とてつもない迫力。
咆哮の圧。
熱戦放射のギミック。
破壊描写。
伊福部マーチのタイミング。
最高のゴジラを見させていただきました。

一方、人間パート。
漂白された戦後。
シンジくんみたいな神木隆之介
日曜劇場みたいな芝居。
佐々木蔵之介のいくらなんでも面白すぎるだろ感。

ゴジラ討伐は「バトルシップ」ばりの熱い展開の連続で本来大好物なはずなのだけど、
なんか「戦後」ていうテーマとストーリーの質感の違いが気になりすぎて気持ちが入らず。

女性キャラが聖母・浜辺美波と、育児代行人・安藤サクラしかいないのも気になったけど昭和と言えば昭和の価値観とも言える。

戦争には負けたけど、ゴジラを倒すことで一皮剥けよう。
という男たちの通過儀礼のようなゴジラだった。



ちなみに山田裕貴の例のシーンは、鬼邪高校を引き連れて来た時の村山さんすぎて脳内で「JUMP AROUND∞」が流れました。

そうはならんやろ「タッカーとデイル」20231018


「あのこは貴族」を見た後、何かのバランスをとりたくなって視聴。

「そうはならんやろ😄」という気持ちで見ていたがラストは「そうはならんやろ😠」と思った。



人の死で笑いをとる系の映画は倫理観チェッカーが働いてしまってあんまり楽しめないのだけど
「トロピックサンダー」と「デッドプール」のXフォースだけは爆笑してしまったのは何故だろうか。

それでも愛しい東京「あのこは貴族」20231018


良いとは聞いていたけど本当にとても良かった。

東京で暮らしていると感じる「階層」がわかりやすく描かれている。
関西弁男がいる居酒屋のシーンでは「俺はここだ」と心がシュンとした。

いささか「そうじゃない人たち」の描写が悪意を感じるほどバッサリしている気がしたが、そこも含めて共感してしまったのはある。

「こういう生き方いいじゃん」という穏やかなメッセージの奥にある「調子乗んなよ」という作り手の熱い気持ちを感じた。


この映画を見て良かったな、と思うのは門脇麦水原希子を大好きになったこと。
ていうかこの映画に出てくるみんなが愛おしかった。
(東京の親族関係と時計屋の息子を除いて)
高良健吾にいたってはラストシーンのあと一緒に飲んであげたい気持ちにすらなった。



地元を出て東京に住んでる身だからこそ、この映画を身近に感じることができる。
しょうもないことかもしれないけど上京してよかったな、て思った。

カイジとあの夏の日「カイジ 人生逆転ゲーム」20231003


2023年のお盆。
帰省から帰ってくると、家の鍵を実家に忘れていることに気がついた。
とりあえず鍵屋さんを呼べる朝までやり過ごすしかない。
困った私は池袋へ。
夏の夜のうだるような暑さの中、たどり着いたのは漫画喫茶。

思えばコロナ禍になって以来、漫画喫茶にいくことはなくなっていた。
こんな機会だし、せっかくなら漫画を読もう。と思い、手に取ったのは「カイジ」。

今までパロディを見すぎて内容を知った気になっていたが、読んだことがなかった。
(ちなみに自分が読んだことのある福本漫画は「最強伝説 黒沢」だけだだった)

スリル溢れる勝負以上に、カイジの残念な生きざまが自分と重なり、せつなくなった。
池袋の漫画喫茶というシチュエーションもよりせつなさを濃くしていた気がする。

朝には漫画喫茶をあとにするはずが、カイジを読み終わるころには疲れ果て、結果昼まで睡眠。
思っていた倍の金額を払った。

人生とは何なんのだろう。
と思いながら家へ向かい、鍵屋さんを呼び、2万円の代償を払い、遂に帰宅したのだった。




と、そんな思い出のある「カイジ」の実写版を見ました。
誇張されすぎた藤原達也を見すぎていたので「意外とマイルドなんだな」と思いました。
そして最後までなんだかよくわからなかった天海祐希

「グランツーリスモ」20231001


全28巻の青年向け漫画を2時間15分に収めたようなスピード感で突っ走る映画。
とにかく何もかもが速い。
顔も名前も一致しないまま物語が進んでいく。
(その割に長尺で挟まれる「東京忖度シークエンス」。モジモジしてしまった)

そしてそこにつぎ込まれる漫画的ベタ展開のつるべ打ち。
(金持ちのライバルキャラが金ピカの車に乗っているのはコロコロコミックかと思った)

そうだ、これが見たかったんだ。
これでいいんだ。
と段々思えて来てラストは涙。
毎回ギャグみたいタイミングで入ってくるBGMも最終的には最高だった気持ちになってくる。

どんなに話が漫画的でも「この物語は実話です」の一言が全てを解決。
ラストシーンはNHK「プロジェクトX」を見ているようだった。

現代的アップデートと作品らしさ「ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!」20231001


良くは知らないけど、お馴染みのキャラであるタートルズの現代版アニメ。
とてつもないアニメ技術で描かれるタートルズたちがかわいい。
そしてその他ミュータントたちの笑えるほどの気持ち悪さ。
子どもの頃、BSやケーブルテレビで海外3Dアニメを見た時の「キモッ」という素直な気持ちを思い出した。

スプリンターの声はジャッキー・チェンでスーパーフライの声はアイスキューブ。
まだこの映画を見ていない人はこれだけで見たくなることでしょう。








以下、ネタバレかつ作品の出来とは関係ない個人的な感想

能天気に「カワバンガ!」と言って楽しめるノリの映画化と思ったけど、結果ずっと人権や社会問題について考えてしまった。

今回、設定と人物描写が掘り下げられているせいで、タートルズ含め、ミュータントたちが容姿や出自で差別される人のメタファーに見えてしまう。

彼らを15歳の少年少女と思うと「ミュータントの彼らが人間社会に馴染む為にはどうすれば・・・」とどうしても考えてしまう。


過保護な親であるスプリンターの元で育ったタートルズと、情はあるけどギャング気質であるスーパーフライの元で育ったミュータントたち。
(ミュータントたちの服装があまりにヒャッハーすぎる)
この対比もリアルな社会問題を感じた。

スーパーフライの笑えるほどの裏切られスピード。
毒親だったのだろうか。悲しい。

ラストでミュータントたちと人間達が共闘するところは涙が出るほどグッと来たが、
その後もタートルズ以外のミュータントたちが地下で暮らし続けているのは「うーん、まぁそうなるよね」とも思った。


どうしても「現代的アップデートにされた社会性ある作品」という見方にいきついてしまう。
タートルズってそういう作品だっけ?
と思うけど、もう現代の感覚でその辺のことをすっ飛ばした作品を作るのは不可能だろう。
むしろそっちの方がノイズになる。
このねじれは現代に荒唐無稽なアメコミをリブートするとどうしても起きてしまう現象なのだろう。