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俺はこの会社では働けない…「下町ロケット」20230801

研究者の道をあきらめ、家業の町工場を継いだ佃航平は、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。創業以来のピンチに、巨大企業・帝国重工が近寄ってきた。特許を売れば、窮地を脱することができる。だがその技術には、佃の夢が詰まっていた――。男たちの矜持が激突する感動のエンターテインメント巨編。第145回直木賞受賞作。
「BOOK」データベースより


ドラマ「半沢直樹」を見た方がいい。と言われ何年が経っただろうか。
せめて小説で池井戸潤作品に触れようと思い「下町ロケット」を読んだ。

数章読んだだけで池井戸潤作品が人の心を掴むのがわかった。
熱く、何よりヒューマニティーがすごい。
そして、情景描写やレトリックが少ない脚本のような文体にも驚く。
このスルスル入ってくる文章も人気の要因かもしれない。

専門的な部分がしっかり描かれているという前提のうえで物語の基本的構造は
「大手企業のむかつく奴が現れる」
「会社がピンチになる」
「俺たちの佃製作所(いい奴)が勝つ」
というものである。水戸黄門とかに近い。
これがシンプルにめちゃくちゃ気持ちいい。
日本の働くおじさん達へのエールを感じた。
この小説を読むと心に佃社長が住み着いて鼓舞してくれるのだが、
同時に「こんなまっすぐな会社で俺は働けない…」という気持ちにもなる。
所謂サラリーマン世界に所属していない自分からすると本当に漫画の世界なのだった。

ちなみに実写版キャストが気になって確認したら
佃社長が阿部寛、財前が吉川晃司という事実に唸った。
シンプルに佃社長と財前、もっとイチイチャしてほしい。と心の中の乙女が言っている。