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驚きの送迎システム「ハヤブサ消防団」20230813

ミステリ作家vs連続放火犯
のどかな集落を揺るがす闘い!

東京での暮らしに見切りをつけ、亡き父の故郷であるハヤブサ地区に移り住んだミステリ作家の三馬太郎。地元の人の誘いで居酒屋を訪れた太郎は、消防団に勧誘される。迷った末に入団を決意した太郎だったが、やがてのどかな集落でひそかに進行していた事件の存在を知る───。連続放火事件に隠された真実とは?

地方の小さな町を舞台にした、池井戸作品初の“田園”小説として、「小説すばる」連載中から話題を呼んだ珠玉のミステリ。 amazonより

下町ロケット」を読んだことで池井戸潤作品の面白さを知った私。
夏だし、田舎が舞台の作品が読みたいなーと思ったのと、現在ドラマ版も放映中ということで「ハヤブサ消防団」を読むことにした。

まず驚いたのは「下町ロケット」との文章の違い。
情景描写やレトリックが多くある。
中高年サラリーマン向けの「下町ロケット」はあえてチューニングされた文章だったのか。と舌を巻いた。

夏休みに読んで非常にいい体験をできた小説だったので気になったポイントを書く。

驚愕の送迎システム
今作で一番驚いたのが、太郎たちの行きつけとなる居酒屋「サンカク」の送迎システム。
この居酒屋が出た時点で「田舎特有の飲酒運転カルチャーを描いてしまうのか…」と思ったが、そこはちゃんと配慮されており、店主が送迎するというシステムが描かれていた。
(いや、本当にそんなシステムの居酒屋存在しているのか)


以下、ネタバレ

田舎ミステリーの怖さとリアリティ
最初、消防団の勧誘の時点で、みんなが太郎を裏切っていたらどうしよう…と思っていたのでとてもハラハラした。

この「田舎に来たよそ者が誰を信用していいのか」というが第一の面白みに感じるのだけど、この作品は更に「ソーラーパネル販売」「新興宗教」という要素が入っているのがフレッシュ。

地方出身の自分からするととてもリアルに感じた。
思っている以上に田舎の土地は多くの人によって狙われている。
荒唐無稽な話とは思わず、楽しめた。

立木彩のサービスハラハラ
立木彩の立ち位置が最後まで揺らいでハラハラするのだけど、ラスト、二、三転するようでしなかったのはズッコケた。
いっそ裏切られたかった。。

「30代の青春」が照らす田舎暮らしの良さ
地味にいいな、と思ったのが太郎と勘介の友情。
30半ばで田舎に引っ越して、日々遊ぶ友達ができる。
ハヤブサ集落での暮らしの良さが描かれていて良かった。
田舎は闇ばかりではない。
しかし、若くして結婚することが多い田舎において陽キャなのに30半ばで独身の勘介。一体何が…と思わなくもない。
(思い出せないだけで既婚と書いていたかもしれない)