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『ぼっち・ざ・ろっく!』はあの頃の俺たち救済ルートなのか

昨年末、話題になったバンドアニメ「ぼっち・ざ・ろっく」。
「バンドやってた人からするとどうですか?」
とよく回りから言われたので視聴してみた。

※言い訳がましく言うと自分はバンドマンと名乗れるほどちゃんとバンドはできていなかった人間ではある

とりあえずアニメとして滅茶苦茶よくできている!
人気が出るのも納得。
絵のデフォルメや小ネタの効き方。
ギャグとエモのバランスなど。
非常に素晴らしいアニメだった。
panpanya先生ぽい絵の部分など感動すらした)


がしかし、本当のこと言えば1話を見た時点ではモヤっとしたのも事実である。

①ぼっちちゃんが音楽に救われた、憧れた描写がない。これはロックじゃない
②ぼっちちゃんみたいなタイプはより激しい、暗い音楽を好きなはず。そして邦ロックを憎んでなくてはならない
③真のぼっちなら下北沢的音楽観に負けてはいけない

正直、言いがかりとしかいいようがない。
そしてこれについては、作中でエクスキューズが出ている。

・ぼっちちゃんの初期衝動は「ギターを弾ければ友達ができる」
・練習曲は「いつでもバンドに誘われていいように有名バンドのコピーをしている」

納得の理由である。
さらに③についてはよく考えたら自分も高校1年生頃は音楽的にこじれていなかった。
つまり、ただの「かつての自分とぼっちちゃんの違い」についてモヤモヤしていただけだった。

『ぼっち・ざ・ろっく!』に重要なところは
ぼっちちゃんは人間を恐れはしているが人を憎んではいないことだと思う。
純粋に音楽で人と繋がりたいのだ。

かつての自分を思い出すと、音楽でモテたいと通りこして、音楽を人と戦う為の武器だと思っていた。
周りと同じ音楽なんて聴いていたらそれは負けなのだと。
振り返ればアングラな音楽に傾倒していったのは高校生活がうまくいっていないとわかった高校3年生の頃からだった。

もしかしたらぼっちちゃんとは、闇落ちを回避できたルートの“俺たち”の姿なのかもしれない。
(そもそも俺たちは容姿もよくなければスタイルもよくなかったが)
(もしかしたら原作ではその後、思いっきり闇落ちしているかもしれないが)

こういう「ロックは希望を与えてくれる」というポジティブなバイブスこそが令和には大事だ。
最終的には「ぼっち・ざ・ろっく」を見てバンドをやりたくなる人が増えてほしい、と純粋に思った。

ちなみに個人的には
ぼっちちゃんがぼっちじゃなくなった結果、音楽への興味を失いバンドをやめ
昔のバンド写真を見ながら「あの頃の私は、ぼっちだった」というモノローグと共に
「ぼっち・ざ・ろっく!」というタイトルがバーンと出る最終回も見てみたい気はする。